九重登山のページ6
 
 

ハードな前岳・黒岳縦走

 
 黒嶽荘→前岳→上台→高塚→風穴→雨堤→黒嶽荘
 
  6月といえば九重は山開き。ミヤマキリシマのシーズン。(平成18年は表年だったようで、すばらしい景観が楽しめたとのこと。)さて、5月は黒岳のシャクナゲでしょう。と決めつけ、いつもの男池→風穴→黒岳は平凡なので、Green Walk平成18年の秋号で紹介されていた記事と逆コースを紹介します。
 きつい登りよりきつい下降をおそれる中高年の私としては、前岳の斜面を下りに使おうとは絶対思わないのであります。
 
2007年5月12日 朝の気温6℃ 日中23℃ 天気 晴 総行程:6時間20分

黒嶽荘登山口 − (48分) − 仙人岩 − (47分) − 前岳(鷹巣) − (26分) − 上台ウツシ − (54分) − 上台 − (15分) − 高塚(黒岳) − (30分) − 天狗別れ − (35分) − 風穴 − (92分) − カツラモト − (13分) − 雨堤 − (20分) −黒嶽荘登山口 

 
 今回の登山コース
 黒嶽荘から前岳・高塚・雨堤地図
カシバード3Dで撮影カシミール3D黒岳立体図
 
 実際には、6時45分に黒嶽荘前の無料駐車場を出発し、登山口が6時55分。前岳には8時30分着。高塚山には10時15分。風穴は11時39分着で、12時5分発。(午後の雨が心配されたのでかなりバタバタしている) 黒嶽荘登山口帰着が14時10分。
   
黒岳 今から登る黒岳。左のピークが前岳(鷹巣)(1334m)。右のピークが高塚山(1587m)。この地点での眺めはすばらしい。左の畑から「ケーン!ケーン!」という鳥の声。立派なオスのキジでした。
大船山と平治岳 上と同じ場所で。左は大船山、右は平治岳。
黒嶽荘入口  男池の駐車場前でトイレをすませ、白泉荘を過ぎ、次のカーブにあるじろそキャンプ場・黒嶽荘の入口から入る。 
 じろそキャンプ場を過ぎて、黒嶽荘の門の前に10台程度駐車できるスペースがあるので、ここに駐める。私が今日は一番乗りでした。
 ストレッチを十分行い、ではスタート。(ところが、ここで大失敗。ストックを2本とも車の中に入れたまま出たのだ!)
   
登山口  黒嶽荘を右に見ながら、まっすぐ進む。(ちなみに黒嶽荘に登山届け入れがある)
 その先に、このような表示があり、左に行けば雨堤へ、右へ行けば今回の前岳コースである。
前岳方面登山口  上の場所からすぐにこのような門がある。シャクナゲ園入口兼前岳への登山口である。ここから登山の開始。
 このあたりのシャクナゲは終わっていた。
白水分れ  のっけから急登の連続。「これならストックは逆にいらなかったかも」と負け惜しみを言いつつ、シャクナゲの根や枝、岩に助けながら登ること20分程度で「白水分れ」。
 写真の右手に降りると白泉荘へ。ここでは左の「前岳」と書かれている方へ登る。汗が噴き出る。
   
白水分れ 上と同じ場所。このあたりまで、視界はゼロに等しい。森林浴にはいいかも。
木の根っこ 急登を繰り返していると、大きな木が台風のせいで根こそぎひっくり返っている所につく。ここで北東方面の視界が開けた。ホッと一息ついて、水筒の水をぐびり。ウグイスやホオジロ、キビタキの声がきれいだ。
仙人岩からの眺め 露岩からの風景。花牟礼山が見える。
前岳への登山路 とにかく、登山口から前岳までの急登はすごい。時にはこのような木の根っこの部分に足場を求めつつ、岩や木の枝・根を手がかりにして、登るしかない。前岳までのルートは細かく表示してあるので迷うことはほとんどない。ここでは、上がって右へ行く。
   
岩だらけ 展望の良い露岩から先は岩が多くなる。やっぱり黒岳の周囲はこのように岩を渡ったり、よじ登ったりが多い。
シャクナゲ 前岳周辺から徐々にシャクナゲの花を見るようになる。花数は例年より少ないのでは?
前岳へ400m 前岳へあと400m。急登が約2時間続くのは初めてだ。大船山の東尾根でさえ100分弱だし、あちらは途中に見通りのきくやや平坦な原っぱもあるので歩きやすかった。このコースは確かに中級者向け、健脚コースだ。
   
直径10mの窪地 あと400mを越えると、一旦窪地に入る。赤テープをさがしつつ、慎重に岩を踏み越えていく。
切り通し 仙人岩。この窪地を抜け、ごつごつした大岩の積み重なった部分を進む。前方左側は切り立った岩壁。
荒神森 徐々に見晴らしがきくようになってきた。左側に見えるのは荒神森。
荒神森の緑 荒神森は今新緑の季節。遠くでコゲラのドラミング、コマドリ、ツツドリ、シジュウカラ、アオバトなどの声の競演が賑やかだ。
前岳直下のロープ場 何度か大岩を巻いたりしてもうすぐ前岳の地点で、ロープのある岩場に出くわす。このあたりになると、結構体力の消耗が激しいのに、この10mの岩登りはきつい。
   
前岳山頂 やっと前岳(1334m)到着。ご夫婦の登山客が行動食をとっておられた。
 私はいつも行動食にはウィダーインジェリーかヴァームジェリーを利用している。(歩きながらの行動食はキャラメルや飴玉)
   
前岳からの眺め  前岳の先の下台(しもだい、鷹巣)より南西方面の上台(うわだい)を眺める。その後ろに平治岳の頂上が少し見えている。
 前岳周辺の写真はここをクリック。
上台ウツシ 前岳から急降下。岩を乗り越え、高塚との鞍部へ向かうと、まもなく底へつく。上台ウツシ。バイケイソウやヤブレガサなどたくさん見られる。
下台の近く 再び登りの(しかも急登)の始まり。高塚への標識は少ない。左のは珍しい方で、赤テープ・黄テープ・白テープが頼りになる。しかし、他の山のように目障りになるほどはついていない。10分程度で1357mの下台(しもだい)。
   
上台から前岳を振り返る 上台ウツシから約55分で、上台(うわだい)に着いた。ただの高台で、表示はない。しかし、眺めは最高。西に広がる九重連山が見える。
 上台から振り返ると下台(鷹巣)がこんもりとしたメーサ(台地火山)だと分かる。(英彦山の鷹巣山一の岳に似ている)
   
上台からの下降 上台からの下りでも、岩が多い。慎重に歩を進める。ストックを車に置き忘れたことがここで悔やまれた。一旦降りて、再び登り。
上上台からの眺め 上上台と思われるところで一枚。西の方面に、大戸越・平治岳。その向こうには三俣山がよく見えた。
シャクナゲ 花数は少ないものの、頂上付近のシャクナゲもちらほら見られた。
ムシカリ 高塚山直下の所にある、ムシカリの木。
高塚から見たみいくぼ  高塚山(黒岳)山頂に着く。登山口から3時間20分。このとばしすぎのせいで、後でひどいしっぺ返しをくうことになろうとは!
 山頂より、おなじみ右が天狗、左が荒神森。中のすり鉢状の窪地、「みいくぼ」である。
   
上峠への分岐  軽く行動食をとって、膝を休めたら、天狗別れから風穴への嫌な「下り」を何とかこなした。じっと立っていても、ズルズル小石とともにずり落ちるような斜面。ロープがなければ、ここは蟻地獄の壁のよう。
 風穴で昼食。岳麓寺方面へ行くと、約10分で左の分岐に着く。上峠方面は「行くな!まよう!」とあるが、私は迷いませんでした。
   
雨堤へのルート  上記分岐からは登山客とは一人も出会わなかった。天狗の南斜面をずっと岩道ぞいにトラバースを続ける。岩だらけの道だが、それが見印となっている。所々赤テープを探しつつ、ほぼ平坦な道を進む。広葉樹林帯。
 しかし、このあたりから膝が痛んできた。前半をもう少し押さえておくべきだったか。
   
カツラノモト とばしすぎ、ストック忘れ、もう一つのミスが、水不足であった。水は2リットルは最低必要。ブナの木のあるあたりから、南東斜面を急降下する。這うほどではないが、蹴ってしまった石はかなり下まで止まらない坂。
 風穴から1時間32分で「カツラノモト」着。本には「かわらもと」とあるのだが...。
   
雨堤 カツラノモトからすぐに平坦な道になる。右手に雨が降れば川となりそうな涸れた川を見ながら行くと、ソババッケのようなたたずまいの盆地、「雨堤」に到着。このあたりの道は平らで、所々灌木がアーチを作り卒園式気分、落ち葉の地面が膝に優しい。
   
黒嶽荘への分岐 雨堤から5〜6分で直進の道から左への分岐点にさしかかる。左側の木に標識があり、「白泉・黒嶽荘へ」と書いてある。左へ降りていく。この後、大木が5〜6本倒れているが乗り越える。最後に、杉林となり、道が不鮮明になる。テープが見つからない。じーっと見つめると、何と最後に「緑テープ」が出た。直進すると黒嶽荘の登山口に到着。
   
 どうにか水が少し残る状態で帰り着いたが、デイバッグの重さを考慮すれば、2リットルは持って行くべきだった。男池コースと違って、このコースには水場はない。黒嶽荘や白泉荘にて炭酸水をたっぷり補給しておこう。今回もキネシオテープ(短かったが)で膝周りをサポートしていたが、年齢による筋力低下、ストック忘れ、とばしすぎで膝に負担をかけすぎた点が反省点である。
 しかし、このコースで分かった点がある。若者は雨堤から風穴、黒岳、前岳コースを選ぶべし。中高年は今回の前岳、黒岳、風穴、雨堤コースが無難と思われる。前岳から黒嶽荘までの急斜面は下りには使いたくないからである。それから、カツラノモトあたりから雨堤にかけて、木に書いてある赤ペンキ「ガンバレ!中高年!」泣けてきますね。私もこの言葉に励まされて最後まで歩ききることができました。
 確かに一般的とは言えない風穴から雨堤コースは、2004年に山旅人さんたちにより赤テープが必要箇所に取り付けられ、初めてでも迷わずに行けました。ありがとう。ブナ林から200mの急降下があるものの、基本的には平坦な道で、自然豊かなこのコースが多くの人に愛され、かつ利用されることを願います。

 さて、次は吉部発、平治岳だ。いままで、なぜか吉部方面からの登山は行ってこなかったが、平治岳北尾根ルートは一般化されていないだけに、興味がそそられる。北尾根から大戸越経由で坊がつる、暮雨の滝という周遊コースである。
 
 
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