九重登山のページ 総合案内




九重登山のページ総合案内


九重山について



目次



  

 九重(くじゅう)連峰を総称して九重山といい、その主峰が久住山です。(但し、最高峰は中岳1791㍍) ふもとは、北に九重町(ここのえまち)、南に久住高原(くじゅうこうげん)があり、牧ノ戸峠(まくんとう)から登れば久住山まで高低差460㍍、片道1時間40分。

 だが、九重山群のメインルートは、長者原から三俣山方面に坊原を進み、すがもり越を越えて、右に曲がって北千里が浜から久住分かれに至り、久住山に登るコースでしょう。または、すがもりから坂を下りて左(つまり東)へおれて、まっすぐ行って急斜面を降りて、法華院温泉、坊がつるへ至るコースでしょうか。坊がつるを拠点に、大船山や平治岳を目指すのも楽しい。
しかし、くじゅうの自然により親しむためには、長者原からタデ原(たでわら)を抜けての雨ヶ池(森林を抜ける)コースをおすすめします。
 
 なお、その他のコースを見てみたい方は下の【コース選択】から直接移動してください。また、地図を印刷したい人は下記国土地理院の地図閲覧サービスをご利用ください。

 そして、九重登山といえばコレといえる代表的なコースをその下に2つ紹介しています。
 
 さらに、山登り前に(または途中で)水を補給したいという場合のおすすめの水場を下のバナーに貼りました。場所はいい加減ですから、地図で確認の上、ご利用ください。






九重登山の一年

(総集編)


※新しいウィンドウで開きます。
 

坊ヶつるから大船山を眺める
坊ヶつるから大船山を眺める 



目次へ



   九重山域の水場 



2万5000分の1地形図の入手先
(国土地理院) 
 ここをクリック



九重山群の通行禁止区域(長者原ビジターセンターのHPより)
  2011年5月付 

登山道の通行に関するお知らせ

くじゅう地域の以下の登山道は、通行禁止等箇所に設定されています。土石流多発地帯または植生保護のため、通行はご遠慮ください。

[1] 大曲り~星生山山頂
[2] 指山山頂~三俣山北峰
[3] 三俣山小鍋~雨ケ池
[4] 本山登山道 稲星山・鳴子山分岐~鳴子山
   (稲星山分岐方面は通常通り通行可)
[5] 中岳分岐~坊ガツル(白口谷)→ここは通行注意とのこと 2012年の土石流にて通行止めのまま

詳しくは 長者原ビジターセンター へ 

環境省九州地方環境事務所くじゅう自然保護官事務所からの情報 
2018年8月10日付

登山道通行禁止区域


(1)平治岳北尾根ルート
(2)赤川からの久住山直登コース  (解除され、通行可)
(3)沢水から鳴子山ルート

立ち入り禁止

大船山避難小屋(建て替え工事)2019年10月21日 (株)松井組により 「
大船山避難小屋新築」完成

詳しくは 長者原ビジターセンター  へ

※上記HP内にて「くじゅう連山登山情報」pdfファイルダウンロード可



【コース選択】


一泊
コース
CLICK
  三俣山
縦走
CLICK
牧の戸→久住山→白口岳→法華院(泊)→大船山→雨ヶ池→長者原 坊がつる   長者原→すがもり越え→三俣西峰→本峰→南峰→雨ヶ池→長者原 三俣山
         
黒岳
日帰り
CLICK    星生新道  ×
CLICK
 
 男池→ソババッケ→奥ゼリ→風穴→天狗岩→高塚→風穴→男池 男池     大曲→星生新道(使用不可)→星生山→御池→稲星山→久住山→牧の戸 1499mピーク(乳首岩) 
         
大船山
東尾根
CLICK    前岳・
黒岳
CLICK 
今水→前セリ→東尾根→大船山→入山公墓→柳ヶ水→ガラン台分岐→今水 大船山御池   黒嶽荘→前岳→上台→高塚→天狗別れ→風穴→カツラノモト→雨堤→黒嶽荘 ツクシシャクナゲ
         
平治岳周遊 × CLICK
  立中山・
鉢窪
CLICK
吉部→4号集材路→北尾根入口(使用不可)→平治の尾→平治岳→大戸越→坊がつる→暮雨の滝→吉部 平治南峰から見た三俣山   吉部→坊がつる→鉾立峠→立中山→鉢窪 坊ヶつるのノハナショウブ
         
男池・
大船山
 CLICK   鳴子山・
白口岳
CLICK 
 男池→ソババッケ→大戸越→北大船山→大船山→風穴→男池  米窪    赤川→南登山口→稲星山→鳴子山→白口岳→久住山→赤川 中岳の御池 
         
湧蓋山
縦走
 CLICK   大船山
ミニ縦走
CLICK 
地蔵原→湧蓋山→みそこぶし山→一目山→駐車場 みそこぶし山
  吉部→近道→北大船山→大船山→吉部 2007年10月大船山の御池
         
猟師山・合頭山  CLICK   泉水山・黒岩山   CLICK
スキー場→猟師山→合頭分かれ→合頭山  猟師山から合頭山    長者原→下泉水山→上泉水山→黒岩山→御池→長者原  泉水山から黒岩山さらに御池 
         
岩井川岳・扇ヶ鼻  CLICK       
瀬の本→岩井川岳→扇ヶ鼻  瀬の本から岩井川岳と扇ヶ鼻      

  




 最も有名なコースを2つ紹介します。



1.長者原→雨ヶ池→大船山→平治岳→すがもり→ 長者原
     (往復8時間 健脚コース)
 
2.牧の戸→久住山→すがもり→長者原
     (往復4時間 お手軽コース)

   

下の地図にマウスのポインタを当てるとジャンプします。
登山地図

森



日帰りコース

1 

(8時間以上の健脚コース) 

長者原 - (1時間) - 雨ガ池 - (40分) - 坊がつる - (1時間40分) - 大船山 - (1時間) - 大戸越 - (30分) - 平治岳 - (1時間30分) - 坊がつる - (40分) - すがもり越 - (1時間20分) - 長者原
   

 (1) 長者原 (ちょうじゃばる)

  豊後中村又は水分峠からバスがくる長者原バス停が酒屋兼土産物屋前にある。そこから道沿いのガソリンスタンドを抜けて北に20m歩くと、公共駐車場の横、ヘルスセンター前には「足湯」がある。そこにある長者原ヘルスセンターが昔の「バスセンター」である。トイレ・売店(おみやげ物も)・食堂(団子汁定食やとり天定食、おでんなど)があり、2Fには長者原温泉(別浴)がある。長者原温泉は42℃くらいあり、登山後の筋肉疲労には良く効く。しかし、小さな子どもにはつらいかも。(私もちょっと苦手)。
 また、より広い風呂に入りたい人は南(つまり阿蘇方面に向かう山側に)100mほど行くと右手に法華院温泉山荘別館として生まれ変わった「花山酔」がある。星生ホテルの新しくできたお風呂、「山恵の湯」も広くて、様々な成分の温泉が楽しめて人気がある。長者原ヘルスセンター周辺にはビジターセンター、ドライブイン、ガソリンスタンド、酒屋、その他多くのホテルがあり賑わっている。国民宿舎コスモス荘は2011年よりオーベルジュコスモスとして生まれ変わった。九重登山を目指す人は、まずこのヘルスセンターで身繕いをして、裏の水を水筒に詰めて、雨ガ池コースかすがもり越コースかを選ぶことになる。
 ここでは、ヘルスセンターの左手裏(平治号銅像裏)から白水川の橋を渡り、タデ原(たでわら)のある自然観察路の木道をいく。湿原草地を横切っていくと、まもなく林に入る。左に「タデ原」を見つつ、森の中を進む。
 徐々に登りとなり苦しいが、様々な鳥(コゲラもいる)達の声を聞きながら進む。近年、土石流があり、一部水のない沢を渡らなければならない。その先を上り詰めたところで(きつい)、長者原の町並みが左に望める高台につく。それからまもなく平坦な道で、雨ガ池につく。


 (2) 雨ガ池  (あまがいけ)

  雨ガ池とはいうものの、実際に雨水がたまっている光景を見ることが出来ることは少ない。このあたりを歩くと、「ああ、くじゅうにきたんだなあ」といつも思う。ススキ、リンドウ、ミヤマキリシマ、クサボケ、時にはワレモコウなど草花にであい、行く手にはこれから登るであろう平治岳や大船山が見える。雨ヶ池の右手奥(西側)には天ヶ池という水のある池もある。
 とくに雨ガ池をこす頃になると、ドウダンツツジが多くなる。春先はミヤマキリシマに負けず美しい。アセビの花も小さな鈴がいっぱいで、かわいらしい。原生林を下れば、そこが坊がつるである。吉部から通じる物資輸送道路(大船林道)とぶつかり、まっすぐ南へ500mも行けば法華院温泉であるが、途中で鳴子川にかかる橋を渡る。するとそこが九州のアウトドア大好き人間のあこがれの地、坊がつるである。


 (3) 坊がつる (ぼうがつる)

 坊がつるは大船、平治、三俣に囲まれて出来た湿原盆地。片隅にむかし九重山信仰に発する法華院白水寺があり、今は1240mという九州最高の高さにある法華院温泉がわき出ている。「つる」は大分や宮崎に多い地名で、水の流れを持つ平地の意味らしい。湯の釣とか鶴とか当て字も多い。「坊ガつる讃歌」で全国的にも有名になった。
 鳴子川を渡ると、草地がキャンプ指定地。昔は右手にトイレがあったが、平成になって新たに草地の北面にトイレが新設された。水場は南側(ここには以前「姿形は汚れても...。」で始まる感動的な標語があった。)。避難小屋(2010年に再建され、宿泊不可)は大船山に登るちょっと手前の右手にある。夏など、ここ坊がつるキャンプ場でキャンプをすると、ホトトギス、カッコー、夜はツツドリ、トラツグミの声が聞こえる。
 法華院温泉はたしか、500円程度で入浴できる。昔は旧本館(現在の宿泊棟)入って、左手の階段を下りて、さらに左手にあった(今は休憩所になっている)。現在のお風呂は、食堂の下、受付の15m下の所に入口がある。(開業当時のお風呂の位置らしい)(自動販売機もある)昔ほどには硫黄のにおいがしなくなったし、色も透明に変わった。浴槽が新しいので気持ちいい。(石けん・シャンプー使用不可)→詳しくは温泉のページで
 
 日帰りで帰る場合、ここで汗を落としても、また帰るときにはすがもりに行く場合でも北千里が浜東部まで急登だし、また雨ガ池越でも汗が噴き出て、「何のための温泉だったんだあ!」と叫んでも仕方のないこと。とにかく、気持ちいいのだから入るしかない。
 法華院温泉に宿泊の場合は、必ず予約をしておくこと。
(バンガローあり) 

 

※ 坊がつる讃歌      

(作詞)梅木 秀徳・草野 一人・松本 徰夫(昭和27年夏、あせび小屋にて)

1.人みな花に酔う時も 残雪恋し山に入り 涙を流す山男 雪解けの水に春を知る

2.みやまきりしま咲き誇る 山はピンクに大船の 段原さまよう山男 花の情けも知るものぞ

3.四面山なる坊がつる 夏はキャンプの火を囲み 夜空を仰ぐ山男 無我を悟るはこのときぞ

4.出湯の窓に夜霧きて せせらぎに寝る山宿に 一夜を憩う山男 星を仰ぎて明日を待つ

5.三俣の屋根に霧とびて 平治のあつき雲はきぬ 峰を仰ぎて山男 今草原の草に伏す



     

 坊がつる(左手に法華院温泉山荘、中央にアセビ小屋)
 坊がつる



 (4) 大船山 (たいせんざん、だいせんざん)

  大船山は(最近の調査で久住山より60㎝低くなったが)1786.2mと高い山で、しかも牧ノ戸峠から遠いので、初心者にはあまり知られていない山。九重には珍しく、コニーデ型の火山で、遠くからみると大きな船の形に見えるので「たいせんざん」か。(別の説によると、山麓に大仙山透円寺の山号からとったという) 
 坊ヶつるから段原に至るこのコースはきつい。まず、5合目・6合目で嫌になる。なにせ、灌木の中を背をかがめて登ることになるのだから。3~4合目あたりは、ススキの原っぱを抜ける巻き道があったが、今はススキでおおわれて失われている。とにかく、上を目指して登り、時々振り返っては三俣山との高低差でどのくらい登ったかを確認し、はあはあ言いつつ登る。(※詳しいガイドは、次のページで
 
 8合目が段原(だんばる)である。ここから眺める九重の山並みは筆舌に尽くしがたい。白口・稲星・中岳・久住を左手に、三俣を中に、右手には泉水・湧蓋、さらに遠方に万年山(はねやま)を眺める。今までの苦労が報われるときだ。
 ここからあと20~30分で、山頂である。左手には避難小屋がある(2019年10月21日より新築し、使用可)。ミヤマキリシマをぬいながら、すすむ。山頂は意外となだらかで、360度の展望が楽しめる。私は特に山頂の東南部にある火口湖「御池」(おいけ)がお気に入りだ。(ちなみに、中岳の御池は「みいけ」と発音し、大船山の御池は「おいけ」と発音する。※注参照)  
 
 山頂は「国見」とも呼ばれ自然が作った絶妙の配置の日本庭園である。昔、岡城のすんでいた中川久清入山公もこの美形を楽しんだ。鉄砲の訓練のためと称したらしいが、きっと山登りとこの大船山からの風景が好きだったのだろう。そういう私も大船山がお気に入りで、これまで何度も登ってきた。久住山や三俣山などと異なり、灌木や林に囲まれ、自然の中で山登りができるし、所々の休憩所で、見下ろす坊がつるの風景は何とも言えない。北の北大船山への尾根の東側には米窪(こめくぼ)がある。直径約500m、深さが200mもあるそうだ。(セリ口谷を挟んで黒岳が見える。黒岳の一般的な登山路は森の中ばかりであまり展望が望め
ない。)

 
※注: 以前このHPでは不知火書房の嶋田裕雄氏著「九重の自然」P.71や葦書房の「九重の自然と歴史」の中の松本徰夫氏著作部分P.32や朝日新聞大分総局編の「くじゅう山想」の表記に従い、逆に(つまり中岳のは「おいけ」、大船のは「みいけ」と)読み仮名を書いていたが、ここでは葦書房の「九重山博物誌」P.10や廃刊となったGreen Walk24号(2007年秋号)やくじゅうアクティブレンジャーさんのブログの表記に従うことにした。しかし、釈然としないのは事実だ。
 
 晴れた日の大船山山頂からまわりをみてみよう。北東には由布岳、独特の双耳峰が美しい。由布岳西峰からのお鉢まわりは結構スリリングだ。さらに、大船山山頂から左に目をやると、遠方に英彦山が見える。いろんなルートがあり、入ると自分も山伏になった気がする、懐の深い山。近くに万年山(はねやま)。まるで平たい台地を高くしたような山で、その横には切株山がある。さらに左手、近くに玖珠富士といわれる
湧蓋山(わいたさん)がある。1499.5mのきれいな山で、山頂にたつと膝のあたりが1500mか。
 そして、九重連峰。3つこぶに見える
(実は4つこぶで、Ⅳ峰を入れると5つこぶ)の三俣山、その左下に法華院温泉。奥に硫黄山(写真右の煙の上がっているところ)。双耳峰のように見える奥の角が天狗ヶ城、手前が九重連峰最高峰の中岳1791m。その左に白口岳(しらくちだけ)(1720m)。目を遠方に移すと、阿蘇の五岳がよく見える。釈迦の涅槃像といわれる。そのさらに左遠方には祖母山が見える。稜線をたどれば、その左端に傾山が見える。


大船山山頂の御池
(おいけ)
 大船山の御池


(5) 平治岳 (ひいじだけ)

 「ひいじだけ」と呼ぶ。平治岳は標高1642.8m。最近は、男池からソババッケ経由、大戸越(おおとごし、地元の呼び方では「うとんごし」)コースを選ぶ人が多い。大船からの縦走路は段原から北大船をとおって約1時間である。ここが滑りやすいので要注意。灌木の中を進む。ついたところが大戸越である。石混じりの草原で、平治岳が真っ正面にある。ここに、トイレがないので要注意。この大戸越から左へ降りると坊がつるへ、右へ降りると黒岳または黒岳の男池(日本百名水で有名)にいく。そう、ここは十字路になっている。
 大戸越から30分で平治岳である。登りコースと下りコースが分けてあるので、それを守ろう。ミヤマキリシマのシーズンである6月上旬は登山客でいっぱいである。そのため、登山路と下山路が分けてある。山頂は、9合目の南峰から右に行ったところにある。9合目(南峰)あたりで風景を満喫してもいいし、本峰から西の方へ降りてもミヤマキリシマがきれい。くじゅうの写真といえばここか南峰で三俣山をバックに撮ったものが多い。

 
下山は大戸越まで降りて、右手の灌木にはいる。20分ほど下ると、印のある大きな岩から左の湿地帯を歩くことになる。なお、このコースは各所にぬかるみがあるので、靴は防水のしっかりしたもので、出来ればショーツスパッツがほしい。泥に足を取られやすい。最近は、一人一石運動が進み、かなりぬかるみがなくなり、歩きやすくなった。赤や黄のテープに気をつけつつ、進むと大戸越から40分程度で坊がつるにつく。後は、来た道を引き返すか、または足に自信のある人はすがもりコースを選ぼう。


  珍しく晴れた6月上旬の平治岳。ミヤマキリシマが満開。登山客もごらんの通り。(大戸越より眺める)
 平治岳

  
 (6) すがもり越

  法華院温泉の裏から、途中に崖崩れをおこしたところのあるだらだら坂を登って(約15分)、北千里が浜に行こう。2003年現在、台風などのため、迂回路がもうけてあり、沢をトラバースする箇所が多い。 登り終えると、そこは広々として砂浜である。北千里が浜。1963年に吹雪で集団遭難が起こったところである。右手前方には大きな岩に黄色のペンキが塗ってある。それに沿って登ると、すがもり越である。 昔はすがもり小屋があって、宿泊や休憩ができたのだが、今は、無人の避難小屋が新たにもうけられ、「愛の鐘」が昔ながらの音を出している。さて、そこからは一旦ガレ場を降りて、さらに階段を上って、あとは道なりに進む。途中で、右手に降りるルートがあり、そこを進むと草原(坊原)をてくてく歩き、すがもりから1時間20分で長者原に着く。
 (追記)途中右に降りずに、まっすぐ硫黄運搬道路を200mくらい進むとケルンが積んであり、そこが大曲への分岐である。左手に降りれば、大曲駐車場方面。




 2 

 (4時間のお手軽コース)

牧ノ戸峠 - (20分) - 沓掛山 - (40分) - 西千里が浜 - (15分) - 久住分かれ - (15分) - 久住山 - (25分) - 中岳 - (15分) - 久住分かれ - (30分) - ※注 - 北千里が浜 - (10分) - すがもり越 - (1時間20分) - 長者原
 

※注:中岳にはよらずに久住山に登ったら久住分れからもと来た道をたどるのが最もお手軽


 (1) 牧ノ戸峠 (まきのととうげ、まくんとう)

 いまや「やまなみハイウェイ」も全線無料となり、牧ノ戸峠はますます観光客が大勢押し寄せるスポットとなった。もちろん、やまなみハイウェイの最高所。標高1330m。久住山との標高差はわずか457mと、大変手頃なコースである。1700m級の山に約1時間30分で登ることが出来る。 ドライブイン、駐車場、遊歩道などがあり、途中の展望所までは観光客用のコンクリート遊歩道であり、石段が切ってあり、かえって歩きにくい。ここは足慣らしとしてゆっくり進もう。 沓掛山まではきつい登りだ。1503mの沓掛山(くつかけやま)山頂に着くと、展望が急に開ける。これから進む方向に目をやると、遠くに久住山の頂上が三角帽子の先のように見える。急な下りを慎重に降りて、草尾根を進む。ここからは傾斜も少なく、ルンルン気分で散歩が出来る。さっきまでの苦しさが嘘のようだ。灌木帯を抜け、斜面をトラバースすると、扇が鼻との分かれ道にぶつかる。道標の通り進もう。 

 

 (2) 西千里が浜 (にしせんりがはま)

 久住山が近づいたのがわかる。草原の終わり付近に道標があり、左に行けば星生山へ、ここではまっすぐ行こう。星生崎のガレ場下を巻いて下ると、そこが久住分かれである。なお、この西千里が浜は秋が美しく、草紅葉が特にすばらしい。春から夏は、小中学生の遠足や団体客も多いが、秋は少しは落ち着いた山旅が楽しめる。久住分かれには避難小屋(2020年冬再建)があり、トイレが新設された。バイオトイレらしい。ティッシュは詰まる元なので使わないこと。(100円) 


 (3) 久住山中岳 (くじゅうさん、なかだけ)

 久住分かれから登り始める。左には大きなくぼみがある。空池(からいけ)だ。爆裂火口の跡だろう。空池の縁を右に巻くようにごろごろした斜面を直登。さらにコースを長いロープに従ってとる。このあたりは滑りやすいので要注意。久住山山頂(1786.8m)は晴れていたら遮るもののない360度の展望を楽しむことが出来る。特に阿蘇方面は絶好の展望台だ。下は久住高原。日本一のマラソンコース・グライターの滑走路・花公園などがあり、また小国街道の松並木も見える。山頂は岩だらけ。赤川登山口からの直登コースが見えるが、降りは怖そうだ。ここの登りはあまり挑戦したくない。
 なお、この牧の戸から久住山までを往復するのがお手軽コースだが、ここからは北千里が浜へ降りることにする。
 
 ※2003年に久住山からの下山路で遭難騒ぎがあったが、久住山からの下山路で空池手前から右に曲がってしまい、そのまま稲星山近くまで迷い込んだようである。
 

 

 下の写真の、左上の白く見える部分が中岳の「御池」(みいけ)で、その右下のくぼみが空池

足利 武三氏 撮影 
山と渓谷社刊 写真集「阿蘇、九重、祖母」より 
空からみた名峰③ 西方から鳥瞰した九重山群

 


 久住山からの下山。もと来た道を降りると、途中で上記の空池の縁を右に巻く道が見えてくる。そこに沿って歩くと左手に天狗ヶ城(1780m)、右手に中岳(1791m)が迫る。標識通り行くと、正面にこんな山奥にあって良いのか?と不思議に思える池がある。中岳の御池(みいけ)である。このあたりは猪鹿狼寺の上宮があったところらしい。コケモモの分布があるが、保護のためロープがあるので、中に入ったり、ましてや採ってはだめ。
 御池の奥、南東に接する所にある直径20メーター程度の窪地は馬洗池(うまあらいのいけ)である。ここは水はない。その先に池の小屋という避難小屋がある。天狗ヶ城から中岳にお鉢巡りも出来るし、また荷物をおいて中岳にだけ行くことも出来る。御池は「冬は凍結するとスケートが、水のあるときにはカヌーをこぐことができる。」という人たちもいる。
 この御池は伝説が多い。大船山の項で述べた岡城主、中川久清公がこの池に霊異があると聞いて、足軽に命じて法螺貝に入れて池の水をくませたところ、一天俄にかき曇り、風雨が起きたそうだ。水を池に返すよう命じると、元のように空は晴れたという。また、岡城の藩士5,60人が酒宴を開き、食べかすを御池に捨てたところ、風雨が起きて視界が聞かなくなった。14人が分かれ分かれになり、こけつまろびつ命からがらふもとに帰り着いたとのことだ。(葦書房 天本孝志氏著 「九州の山と伝説」より)

 とにかく、山のマナーはゴミは捨てない。すべて持ち帰る。特に、この人気コースはいろんな人が入るので、この点は十分注意してほしい。


 (4)
 北千里が浜 (きたせんりがはま)

  中岳から久住分かれに戻ろう。

 久住分れからはもと来た道をたどると沓掛山を越えて、牧の戸の駐車場に至る。これが最もお手軽な久住山往復コースである。

 さて、久住分れで右手の下り斜面が北千里ヶ浜へ通じる道がある。ここを下るとスガモリ経由で長者原へ行ける。右の斜面を降りることにする。斜面は
上り優先落石のないように登りの人に気をつけて降りよう。万が一落石をおこしたら、「らーく!」と下の人に注意を促すこと。ガレ場をそろそろと降りる。30分程度おりると、あの黒沢映画にもでたという北千里が浜である。
 ケルンに従っててくてく歩こう。ひたすらまっすぐ行くと、すがもり越が見えてくる。あの丘を超えるともう長者原だ!とポジティブな気持ちにさせてくれる景色である
すがもり越から先は前述の通りである。


 


 さて、以上2つのメインコースを説明してきたが、九重が大好きという人はもちろんこれ以外のコースを頭に入れていることだろう。
 例えば、男池(おいけ)から風穴経由・黒岳。七里田から大船山。暮雨の滝から坊がつる。特に、九重を堪能したければ、すがもり越経由、法華院温泉泊。翌日、大船山の段原経由、風穴(ふうけつ)、黒岳(くろだけ)。さらには東の天狗への往復から高塚経由、白水鉱泉または黒嶽荘泊。という2泊3日の山旅は生涯の記憶に残るものとなるであろう。
 そういう私は貧乏暇なしで、しかも中年の体力不足。でもって、日帰りの雨ガ池コース大船行きが中心なのだが、「いつかは見ていろ!」とハアハア一人で息巻く日々である。(一体いつこんな旅が出来るのか?)
 

 



そして、やりました!


<1泊コースへ続く>



 home   next 
               


inserted by FC2 system